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大切なものほど、見えなくて。

小さな灯りを胸にしまって歩いた。

雨が続く季節、心は少し曇っていたけれど、その灯りは消えずに寄り添ってくれた。

だから今日も前へ進む。ゆっくりでいい。息を整えながら、一歩だけ。それで十分だよ。ゆっくりね。

歩く先で、小さな花が揺れていた。誰にも気づかれずに、それでも空を見上げて咲いていた。
その姿に少し笑った。
「急がなくていい」と、花が言った気がした。
足取りはまだ重いけれど、さっきより心があたたかい。
その灯りは、今日もちゃんと胸の中。
消えないまま、そっと寄り添っている。

その明かりは、「誰にも言わなかった、あなたの願い」だった。

大きな夢じゃなくていい。

声に出す勇気がなかった、心の奥の小さな願い。

「こうなれたらいいな」とそっと思った、あの瞬間に生まれた灯り。

傷ついた日も、迷った夜も、

その願いだけは、消えずにあなたの中で息をしていた。

誰かに見せるためじゃない。

誰かに褒めてもらうためじゃない。

あなたが「生きていたい」と思った、その理由。

それがあの明かり。

ずっとあったんだよ。

ずっと、あなたと一緒だった。

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